この記事はクラウをさよさんに探索して頂いた時に
報告頂いた内容になります。
さよさんのサイト内でも掲載されていましたので
ご存知の方もいらっしゃるかも知れません。
【幻獣情報】
◇場所
・ペガサスは暗い森で陰の気を入れに来て休んでいることがある。
・12/5は森から出て、青空を飛んでいた。
・もともとはベージュっぽい石が点在する場所にいて、そこは光輝く花が一面に咲いている。
・12/6かそれ以前に、友人に会いに黄色い花畑に行っていた。
◇姿
・お茶目、明るい。好奇心が強い。ちょっと落ち着きがなく歳はいっていないかも?
・雄か両性で、精悍な感じ。
・正義感が強く、自分の大切な人は絶対に守る。
・体は純白。
・目の色はきれいな青か黒。南国の海のようなきれいな青のイメージはあるが、黒のような気もする。
【経過報告1】
まずは同じペガサスであるリュカミアに会いに行きました。
彼女は天の国に住んでいるので、聖樹の上へと竜の姿で飛んで行くことにします。
聖樹の内部を登るか、外側をぐんぐんまっすぐ上へと飛んで行けば、天の国に行けるんです。
聖樹の幹の上で暮らす幻獣のなかには私の友達もいて、飛んで行くときに「こんにちはー!」と挨拶してくれました。
天の国に着くと、リュカミアのいる花畑へと向かいました。
以前は虹色の花が咲く場所にいたのですが、今は気分転換に赤い花畑で暮らしています。
花畑に降り立ち、いつも通りキツネ(リトゥ)の姿になります。
遠くにリュカミアの姿が見えたので、駆けていきました。
彼女は私の足音に気づき、すらりとした首をあげてこちらを向きました。
そしてぱっと明るい顔になりました。
「こんにちは、リュカミア。
ちょっと探索に協力してほしくて、会いに来たんです。」
私がそういうと、彼女の顔はさらに明るくなりました。
「あら、探索のお手伝いができるなんて嬉しいわ。
役に立てるかわからないけれど、なんでも聞いてみて!」
リュカミアは私に目線を合わせるように、花畑へ横たわりました。
私は彼女に、今回は純白の姿のペガサスを探していることを伝え、場所についても細かく伝えます。
暗い森、ベージュの遺跡、黄色い花畑…どこか知っていると助かると言うと、リュカミアはしばらく目を閉じて思い出そうと努力してくれました。
「ゆっくり思い出してくれていいですからね。
私はのんびり待ってます。」
そういって私も花畑に横になり、赤い花の香りを楽しみました。
「暗い森のことだけど…」
リュカミアが呟きました。
「随分前に、聞いたことがあるの。
私はそうでもないけれど、一部の光属性の幻獣は、たまにそういう影の気に満ちた場所へ行くそうね。
そして一度心や体に自分の性質とは逆の気を入れて、調和させるのだったかしら…。
ごめんなさい、あまり詳しくなくて。
それで、ペガサスがよくいく暗い森…
「逆光の森」というところがもしかしたら手がかりになるかもしれないわ。
逆光の森は、光の国にあるの。
まずは光の国へ行って、私の知り合いのトスティアに話を聞いてみてほしい。」
リュカミアはそういうと、トスティアの住んでいる場所を詳しく教えてくれました。
光の国には「永久(とこしえ)の光樹」という聖樹の子株があり、そこからほど近い湖の近くに住んでいるそうです。
話を聞いて、早速光の国へ向かうことにしました。
リュカミアにお礼を言うと、「見つかったらまた会いに来てね!」と笑ってくれました。
永久の光樹は、幻獣たちの待ち合わせにもよく使われます。
私も何度も行ったことがあるので、光の国に入ってすぐに竜の姿で飛んで行くことが出来ました。
この樹の北には山があり、そこから流れる水は麓の林で湖を形成しています。
この澄んだ湖の近くにトスティアが住んでいて、あまり出歩かないペガサスなので今日もきっといるはず…とリュカミアは言っていました。
私は湖を上空から見渡して、トスティアがいないか探しました。
栗色をしているそうで、もしかしたら風景に溶け込んで見えないかもしれない…とよくよく目を凝らしていると、林から湖に向かって歩いていくペガサスを見つけました。翼をぐぅっと広げてくつろいでいる様子です。
私は湖に降り立ち、リトゥになってペガサスを迎えました。
「こんにちは、トスティアさん。
私はリュカミアの友達のサヨです!」
自己紹介すると、トスティアは優雅に頭を下げて挨拶してくれました。
茶色と白色の落ち着いた色合いが美しいペガサスです。
「リュカミアの友達か。
彼女は元気でやってるかい?」
トスティアは気さくに話しかけてくれます。
リュカミアのことをひととおり話してから、「逆光の森」について尋ねてみました。
「その森なら、知っているよ。
ここからなら君の足で…半日あれば着くんじゃないかな?
あの、遠くにあるてっぺんが金色の山が見える?
あの山を越えたら草原にペガサスやユニコーンがいるはずだから、また話を聞いてごらん。
近くに逆光の森があるから、案内してくれるかもしれない。」
トスティアと同じ方向を見遣ると、たしかに、かすかではありますがてっぺんが輝く山が見えました。
リトゥの足なら半日かもしれませんが、竜の姿ならすぐの距離です。
私はトスティアにお礼を言い、その場を後にしました。
【経過報告2】
トスティアに言われた通り、湖から竜の姿になって「てっぺんが金色の山」を目指しました。
花の香りのする追い風が翼を押し上げ、ぐんぐんと山へと近づいて行きます。もしかしたら風の精霊が気を利かせて、良い風を吹かせてくれたのかもしれません。
眼下に広がる緑の草原と、遠くに連なる山々を眺め、すれ違う鳥の幻獣に挨拶をしながら、山の頂の金色を目指して飛びました。
しばらくして、山に到達しました。
山の頂にあったのは金色の宝石です。
日光を浴びて、淡く、それでいて魅惑的な光を放っています。
私はその宝石にそっと後ろ足で触れて、山の向こう側へと再び飛び立ちました。
山の向こう側には、トスティアの言う通り草原がありました。
徐々に降下して草原に降り立つと、そこにいたペガサスやユニコーンたちがちらりとこちらを見て会釈してくれました。
私は竜の姿のまま、近くにいた水色のまだらが入ったユニコーンに話しかけます。
逆光の森について何か知っていたら教えてほしい、と。
ユニコーンは「名前は聞いたことはあるけれど、詳しい場所は知らないんです」と申し訳なさそうに言いました。
良いところだとは知っているけれど、すこし怖くて行けないでいる…とも。ある幻獣にとってはよい場所でも、別の幻獣にとってはちょっと怖い場所なようです。
ユニコーンと少し話をしてから別れ、同じ質問を近くにいた灰色の翼のペガサスに訊いてみました。
すると、行ったことがあるとのこと。それではぜひ場所を教えてほしいと言うと、案内してくれることになりました。
「逆光の森は、光の幻獣が、己の光を眠らせる場所だ。」
ペガサスは私を案内しながら、そう教えてくれました。
「森には闇の力が静かにたゆたっている。
その雰囲気に怖れを感じる幻獣もいるが、慣れればとても良い場所だよ。」
ペガサスと話をしながら草原を横切り、目の前に現れたのは、影がかかった森。
木々は黒に近い灰色をしています。暗いのですが怖れは感じず、どこかなつかしい安心感を覚えました。
ペガサスは「俺は草原に戻っているから、また何かあれば会いに来てくれ」と言い残して飛び去って行きました。
私はその背中にありがとうと感謝を述べ、リトゥの姿になると、逆光の森へと足を踏み入れました。
逆光の森には円形に青空が見える場所がある、と教えていただいたので、そこを探すことにしました。
探しているペガサスが心を休めるために訪れる場所なら、きっと今どこにいるかという手がかりも見つかるはずです。
森には広い獣道が続いていたので、それに沿ってずっと進んでいきます。
ところどころ分かれ道があり、どちらに進めばよいのかわからないので直感で選んですいすいと歩いていくと、すんなりと「円形に青空が見える場所」へとたどり着いてしまいました。
あっけなく見つかったので、半ば戸惑いつつ円形の中心へと歩み出ます。
円のふちは枝葉に縁どられ、そよぐ葉はほんの少し青空の色が透けて見えました。
感動して空を見上げていると、私が来た道とは反対側からペガサスが出てきました。
体はところどころ金色がかった白で、瞳が紫色をしているペガサスです。
私を見つけると、戸惑った顔をしました。「どうしてこんなところにリトゥがいるのだろう?」といったところでしょうか。
私はペガサスに向き直り、挨拶をしました。
「はじめまして。私はある純白のペガサスを探しにここまで来た者です。」
純白のペガサスについての特徴をいくつか述べ、そのペガサスに繋がりそうな場所を巡っているのだと伝えると、金色のペガサスははっとしました。
「もしかして…」
その先を言おうか言うまいか悩んでいる様子の金色のペガサスに、私は「大切な方なんです。そのペガサスのこと、どうか教えてくださいませんか?」と頼みました。
金色のペガサスは私の目をしばらくじっと見て、ゆっくりとうなずきました。
「クラウシュはたまにここへ来るペガサスで、私とは時々他愛もないお話をするお友達同士です。
あなたとはどのような関係かは存じませんが、大切な方とおっしゃるお言葉を信じて、彼の住んでいる場所についてお話しします。」
金色のペガサスの名前は、ファリアラ。
私が探しているであろう純白のペガサス、クラウシュ(またはクラウス)について教えてくれました。
クラウシュは確かにベージュの石が点在する場所に住んでいて、光輝く花畑の中ほどにあるひと際大きな岩の上に座っているのが好きだそうです。そこはこの逆光の森から遠方にあり、4方を山に囲まれた要塞のような場所です。
ファリアラはそのベージュの石…蜜石(みついし)が点在する場所への行き方を丁寧に教えてくれました。
【経過報告3】
ファリアラに教えてもらった通りに、逆光の森からベージュ色の蜜石の点在する遺跡まで竜の姿で飛んで行きました。
まずは南に進み、大きな青空色の川を越え、霞の平原を超えます。
そして西方にある切り立った大きな山を越えると、四方が山に囲まれた森へとたどり着きました。
森の木々の合間には蜜石が見え隠れし、中央には巨石が見えます。
巨石の上は、きらきらと光っているように見えました。
私好奇心に駆られて中央に飛んで行き、息をのみました。
そこはぽっかりと木が生えておらず、光輝く花に覆われた花畑でした。
そしてその中には、まるで城か遺跡のように、10mほどのベージュ色の巨石がいくつもそびえたっているのでした。
巨石の上は平らで土が積もっており、そこにまで光輝く花が一面に咲いていました。
巨石の上の花畑に降り立ち、しばらく地上を眺めました。
四方を囲む白みがかった山は、まるでここを守る城壁のように感じられます。
ここは間違いなく、探しているペガサスが住んでいる場所です。
しかし姿は見えず気配もしませんでした。
私は息を吸い込み、思い切って「クラウシュー!」と呼びかけてみました。
竜の呼び声はあたりに響いたはずですが、クラウシュは現れません。
しばらく巨石の上で横たわり、これからどうしようかと考えていると、地上から声が聞こえました。
「クラウシュを探しているの?」
私は巨石から地上へと顔をのぞかせ、ちいさな白い犬の幻獣がこちらを見上げているのに気が付きました。
頭には角が一本生えており、どうやらリルヴァルの幼獣のようです。
すぐに幼獣のそばに降り立ち、
「そう、クラウシュを探しているんだよ」
と微笑みかけると、リルヴァルの幼獣は申し訳なさそうな顔になりました。
「クラウシュは、出かけているんだ。
もうすぐ何か良いことが起こる気がするから、その前にしておきたいことがあるって。
でも、明日の日が沈むまでには戻るって言ってたから、明日も来てくれないかな…?」
私はもちろん、と頷き、留守番をしているリルヴァルにお礼を言いました。
名前を聞くと、エシュロスだと教えてくれました。
「エシュロス。
明日クラウシュが戻ってきたら、大切な用があって訪ねてきた幻獣がいる、と伝えてくれるかな。
そして、明日は必ずこの石の上で待っていてほしいとも。」
エシュロスは元気よく頷きました。
その後はエシュロスと少しお話をしました。
クラウシュは純白の雄のペガサスで、角はひと際白く輝いているそうです。
瞳の色を尋ねてみると、「深い夜空の色」と表現してくれました。
エシュロスは最近、家族と共にこの蜜石の森へやってきたらしく、この巨石と花畑のある場所へ探検しに来た時にクラウシュと出会ったのだと教えてくれました。
ペガサスは気高くて近寄りがたいイメージだったそうですが、クラウシュはお茶目で気さくなペガサスだったので、驚いたのだとか。
気が合うので今ではたびたび遊んでおり、クラウシュが留守を頼みたいという時は喜んで役目を引き受けているそうです。
明日は必ず来ると約束し、人間界へと帰還しました。
【経過報告4】
日が沈む前に蜜石の巨石へ向かうと、エシュロスが地上の花畑で横たわっていました。
クラウシュが帰ってくるのを待っていたのでしょう。
私が隣に降り立つと、にこっと笑ってくれました。
「クラウシュはまだ帰ってきていないんだけど、もうすぐだと思う。
あのペガサスは言ったことをちゃんと守るからね。」
エシュロスは沈みゆく太陽を、目を細めて見上げます。
私もそちらを見上げると、太陽に黒いシルエットが浮かび上がりました。
翼をゆっくりと羽ばたかせ近づいてくるのは、純白のペガサス。
その日最後の日の光を一身に浴び、輝きを放ちながら、こちらへ飛んできます。
力強い羽ばたきの音が確かに聞こえるようになってきて、私はペガサスを迎えようと巨石の上へ飛翔しました。
ペガサスは翼を平行に広げ、滑るようにこちらへ降下します。
そして、しなやかに巨石の上へと舞い降りました。
光輝く花も、ペガサスも、夕日を浴びてオレンジ色に煌いています。
すこし癖っ毛で逆立っているたてがみは、まさに炎のようです。
太陽を背にこちらをまっすぐに見つめるペガサスは、神々しさすら感じさせました。
「僕はクラウシュ。」
ペガサスは、すっと軽く頭を下げて、私に挨拶しました。
「あなたの名前を、教えてくれるかな。
そして、ここに来てくれた理由を…。」
クラウシュに問われ、私は自身のことと、なぜここに来たかを伝えました。
幻獣士であり、ある人間とパートナーになる幻獣…純白のペガサスを探しているのだと。
そして、そのペガサスはあなたであると。
彼は驚きもせず、時たま頷きながら静かに話を聞いています。
話が終わると、「そうか、やっぱり…」と呟きました。
「僕は、もうすぐこういう時が来ると感じていたんだ。
僕を必要としている誰かがいて、その誰かが…僕をここではない違う場所へと導くだろう、と。
まさか世界が違うとは、思っていなかったよ。」
そう言ってクラウシュは笑いましたが、ふと視線を逸らして小首を傾げました。
「いや、実は、世界が違うかもしれないとも考えていたのかもしれない。
人間の姿が浮かんだものだから…。
もし人間界に行けるなら嬉しいなぁと思っていたけれど、実現するとはね!」
クラウシュは再び笑い、ここまで探しに来た私を労ってくれました。
そのうち夕日は沈み、あたりは夜の色に染まっていきました。
しかし、光輝く花もクラウシュも、まだ白いほのかな光を放っています。
ひゅうっと、一陣の風が私たちの間を通り抜けました。
すると、それを合図に、光輝く花から光の粒子がいくつもいくつも立ち上りはじめました。
蛍火のようにはかなく光りながら、ゆっくりと空へ上っていきます。
あたりは空へ上る光の粒子に包まれました。
息をのむ美しさに、私は空を見上げて沈黙しました。
クラウシュは、そんな私を見てそっと微笑みます。
ほっそりとした首を凛と伸ばして、彼もまた、静かに空を見上げました。
光の粒子が立ち込める世界で、クラウシュは言いました。
「僕は、その人のもとへ行きたい。」
たった一言だけでしたが、そこに込められた強い思いは確かに伝わりました。
私はその思いに応えるように強く頷き、翼を広げて飛び立ちました。
人間界に帰って、クラウシュの思いを伝えるために。